12/3(火)第78期順位戦C級1組7回戦

先手船江六段 後手藤井七段
78手迄で藤井七段の勝利。

藤井七段おめでとうございます。
船江六段お疲れ様でした。

 終局は23時16分。
持ち時間6時間の順位戦ですが、23時をまわる対局は久しぶりのような気がしました。
手数も78手と比較的短手数で、両者ともに長考がしのばれる対局でした。

 脳も身体も疲労は最大限であろうに、しばし笑顔も見せながら感想戦をする姿は、好きを生業とする"大きな少年達"の幸せそうな姿に傍目には映るのでした。

 そして昨日8(日)は将棋プレミアムフェスin名古屋のイベントに出演された藤井七段。
「将棋の神様へお願いするとしたらどんなことをお願いしますか?」との質問への回答が話題になっていました。

 藤井七段の回答は「一局お手合わせ願いたい」。

欲のないのやらあるのやら…。このお願いには神様も少々驚かれるのではないでしょうか(笑)。
 以前の王将リーグ戦のインタビューでの自身は才能型か努力型かとの質問に環境型と回答された時もそう思ったのですが、藤井七段は思考が柔らかく、物事を違う視点からみる目を持たれていて素晴らしいなと思いました。

 さて明日はヒューリック杯棋聖戦二次予選ですね。どのような対局となるでしょうか、楽しみながら応援したいと思います。

11/19(火)第69期大阪王将杯王将戦挑戦者決定リーグ戦

先手藤井七段 後手広瀬竜王
126手にて藤井七段の投了。

藤井七段お疲れ様でした。
広瀬竜王おめでとうございます。

 戦型は矢倉。
 序盤から60手目までは藤井七段が有利に進めるも、一手の隙を見逃さなかった広瀬竜王に逆転を許す展開に。
しかし90手目を過ぎた辺りから藤井七段の怒濤の逆転劇の幕が上がり、ファンの熱量はもとより棋士の方々が検討を行う将棋会館控室も盛り上がりを見せたそうです。
そして最終盤、一分将棋となった藤井七段と広瀬竜王との戦いは一目には劇的な幕切れとなって終わりを迎えたのでした。
 小さな声ながらも顔を上げ対局後のインタビューに応える藤井七段の姿には、悔しさだけではなくその底に渦巻く赤く燃える"マグマ"が見られたように思われました。

 王将リーグ戦、藤井聡太"覚醒"の六番勝負。
存分に楽しませて頂きました。
 4勝2敗、リーグ残留という結果もさる事ながら、何より素晴らしかったのは歴戦のA級猛者達を相手にファンだけでなくプロ棋士である解説者たちをも唸らせるその対局内容でした。
 来期リーグ戦が、またこれからの対局が待ち遠しくなる、見事な若武者の闘いぶりでした。

 さて、明後日は大事な順位戦ですね。
相手は船江六段、前回の対局は一年半程前、後手で角換わりでした。
今回も後手番ですね。どんな戦いとなるのでしょうか。楽しみに応援したいと思います。

余談
 11/23(土)の『将棋の日in甲府』のイベント前日、同地で行われていた竜王戦の検討がおこなわれている控室を訪れた藤井七段の姿が映像に映っていました。
 藤井七段の表情には数日前の敗戦の影は微塵もなく、楽しそうに検討に加わっている姿が見られました。
 本当に将棋が好きなんだなと微笑ましくなるような笑顔の藤井七段は、見ているこちらも笑顔にしてくれるのでした。

11/14(木)第69期大阪王将杯王将戦挑戦者決定リーグ戦

先手藤井七段 後手久保九段
157手迄で藤井七段の勝利

藤井七段おめでとうございます。
久保九段お疲れ様でした。

 本譜は完勝譜といっていい内容だったのではないでしょうか。
本局だけではなくここ最近の対局は、見事な内容の対局ばかりのようです。

 対局後のインタビューで藤井七段は「トッププロと対戦を重ねることができて、自分自身、新しい発見みたいなものがあったかなと思います」とおっしゃっていたそうです。

 "発見"とはどんなものなのでしょうか。
感嘆の声が漏れる一手や指し回しへのファンの方々等のコメントを思い出しながら評価値のきれいな折れ線グラフを拝見していて頭に思い浮かんできたのは、"無理がないスムーズな自然な"という言葉でした。
 なんでしょうか、ふと息継ぎのコツが掴めた時の
泳ぎの感覚を思い出しました。心地よく永遠に泳いでいられるような感覚です。

 藤井七段の発見したものがどのようなものかはわかりませんが、読みや判断、思考を心地良くさせる的な何かなのかなと、"大局観"に繋がっていく何かなのかなと想像したりした次第です。

 さて、明日は王将リーグ戦広瀬竜王との対局ですね。対局は東京の将棋会館で行われるということなので、窓のあるお部屋で外を眺めながら対局出来ますね。
 周りは幾分賑やかかと思われますが、藤井七段はいつもと同じように目の前の一局に相対されることでしょう。
良い将棋となりますようにと願いながら明日も応援したいと思います!

11/8(金)第91期ヒューリック杯棋聖戦二次予選

先手藤井七段 後手阿部八段
117手迄で藤井七段の勝利。

藤井七段おめでとうございます。
阿部八段お疲れ様でした。

 自然な手を重ねたいった結果、快勝といった将棋だったようですね。
感想戦を見ていましたが、藤井七段は大人だなあとあらためて思った次第です。

 そして先日10日は『名古屋城こども王位戦』の優勝者達との指導対局がありました。
ニュースや見学に行かれた方の写真や映像などを拝見すると、普段の対局の時とは違ってとても柔らかな表情をされていて"素敵なお兄さん"といった面持ちの藤井七段でした。
 この日の藤井七段の装いは(私的に)No.1コーディネートの紺のクレリックシャツと同色のネクタイでした。藤井七段はこのコーディネートが本当に良くお似合いですね。

 さて明日は大阪王将王将戦ですね。
相手は久保九段です。
振り飛車党の久保九段というと、ファンは少し身構えてしまいますが、藤井七段はきっと自然体で盤の前に相対されることでしょう。
これまでの対戦経験を存分に活かして良い将棋が指せますようにと願いながら、一生懸命応援したいと思います。

11/5(火)第78期順位戦 C級1組 6回戦

先手藤井七段 後手青嶋五段
95手迄で藤井七段の勝利。

藤井七段おめでとうございます。
青嶋五段お疲れ様でした。

 意表をつく一手目76步、そして戦型は矢倉模様。これまでに一度だけある対局も矢倉模様の対局でした。
 以前の対局を振り返って、何か良いアイデアが浮かんでいて試してみたいものがあったのでしょうか。そんなことを思いながら観ていました。

 本局は藤井七段は勿論のこと、青嶋五段も最善手の多い、良い内容の将棋だったようですね。
幸先の良い、月の初めの勝利でした。

 さて、明日はヒューリック杯棋聖戦ですね。
良い将棋となりますようにと、楽しみながら応援したいと思います。

10/28(月)第61期王位戦 予選7組 3回戦

先手西川六段 後手藤井七段
118手迄で藤井七段の勝利。

藤井七段おめでとうございます。
西川六段お疲れ様でした。

 本局もまた藤井七段の深い読みに裏打ちされた鋭い攻めが光った一局だったのではないでしょうか。
90手目、藤井七段ファンにとっては勝利への狼煙のような飛車切りの一手が指されました。

 飛車切りという一手は、確かな読みがあるからこそ出来るものでしょうし、その後の鋭い踏み込みは、その自分の読みを信じているからこそ出来るものではないかと思われます。

 常人の想像を超えた深く確かな読みもさる事ながら、自分の読みを信じ恐れることなく踏み込んで行く強い意志が藤井七段の将棋には感じられ、そこに強く私は惹かれます。
 そんな藤井将棋の魅力をあらためて思った一局でした。

 さて明日は大事な順位戦です。
青嶋五段とは約一年振りの対局ですね。どんな対局となるのでしょうか。
良い将棋になりますようにと楽しみながら応援したいと思います。

10/21(月)第69期大阪王将杯王将戦挑戦者決定リーグ戦

手羽生九段 後手藤井七段
82手迄で藤井七段の勝利。

藤井七段おめでとうございます。
羽生九段お疲れ様でした。

 前例
棋譜中継』のコメントによると本局は15手目までが五局、20手目迄が一局、の前例があったそうです。
 前者の一つは今年6月の藤井七段と佐々木五段との王座戦、後者は同じく8月の藤井七段と金井六段との順位戦だそうです。

 前例のある対局についていつも思うのは、どちらが誘導したのだろうかということです。
勿論偶然という事もあるのでしょうが、対局者の前例であった場合はやはりどちらかが誘導したんじゃないかなと思うのです。

 プロの方や指す将の方はどちらが誘導したのか、棋譜を見ればわかるのでしょうが、観る将の私には当然わかりません。
戦いの主導権を握るのは先手だから先手側かなと思ったり、前例の対局者ではない方かなと思ったり、負けず嫌いのトップに位置するプロ棋士であれば先手後手に関わらず、前例で負けた方を持った側かなと思ったり。
 ただ人間心理で推測するのみです。

 そういったことで今回『棋譜中継』の15手目のコメントを読んだ時にはとてもスリリングな気持ちになりました。
△52玉を選べば対(先手)佐々木五段戦の負けた対局、△62玉を選べば対(先手)金井六段戦の勝った対局をなぞることになる場面だったからです。
 もし誘導したのが先手の羽生九段だったとしたならば、羽生九段はどちら側の対策をしてこの対局に臨んできているのか。
通常なら負けた側を持って臨むだろうと考えるけれど、もしかしたらその裏を読んでより洗練された勝ち方を用意して勝った側を持とうとして臨んでいるのかもしれない。
いや、多忙の羽生九段はそもそも順位戦の方はご存知ないかもしれない。
"羽生マジック"とはその一手をさすけれど、こんなところにも現れているのかもしれないなあと思いドキドキしながら対局を追っていました。

 5分の考慮時間を経て藤井七段の指した16手目は52玉でした。
どんな判断を経てこの一手を指したのかはご本人のみぞ知るといったところですが、想像するに藤井七段はとてもシンプルに考え52玉を指したのではないだろうかと思ったりします。
佐々木五段戦との対局はとことん研究した、どんな手が来ても対応出来る、といったふうに。

 このあと本局は21手目▲75角で前例から離れることになり、藤井七段の勝利となります。

 今回の対局は何より藤井七段の深い読みに裏打ちされた一手や指し回し、鋭い踏み込みがとても素晴らしく格好良い対局でしたが、それと同時にその決断力も素晴らしいなと思った対局でした。

 さて、明日は西川六段との王位戦ですね。
良い将棋となりますようにと応援したいと思います。