10/21(月)第69期大阪王将杯王将戦挑戦者決定リーグ戦

手羽生九段 後手藤井七段
82手迄で藤井七段の勝利。

藤井七段おめでとうございます。
羽生九段お疲れ様でした。

 前例
棋譜中継』のコメントによると本局は15手目までが五局、20手目迄が一局、の前例があったそうです。
 前者の一つは今年6月の藤井七段と佐々木五段との王座戦、後者は同じく8月の藤井七段と金井六段との順位戦だそうです。

 前例のある対局についていつも思うのは、どちらが誘導したのだろうかということです。
勿論偶然という事もあるのでしょうが、対局者の前例であった場合はやはりどちらかが誘導したんじゃないかなと思うのです。

 プロの方や指す将の方はどちらが誘導したのか、棋譜を見ればわかるのでしょうが、観る将の私には当然わかりません。
戦いの主導権を握るのは先手だから先手側かなと思ったり、前例の対局者ではない方かなと思ったり、負けず嫌いのトップに位置するプロ棋士であれば先手後手に関わらず、前例で負けた方を持った側かなと思ったり。
 ただ人間心理で推測するのみです。

 そういったことで今回『棋譜中継』の15手目のコメントを読んだ時にはとてもスリリングな気持ちになりました。
△52玉を選べば対(先手)佐々木五段戦の負けた対局、△62玉を選べば対(先手)金井六段戦の勝った対局をなぞることになる場面だったからです。
 もし誘導したのが先手の羽生九段だったとしたならば、羽生九段はどちら側の対策をしてこの対局に臨んできているのか。
通常なら負けた側を持って臨むだろうと考えるけれど、もしかしたらその裏を読んでより洗練された勝ち方を用意して勝った側を持とうとして臨んでいるのかもしれない。
いや、多忙の羽生九段はそもそも順位戦の方はご存知ないかもしれない。
"羽生マジック"とはその一手をさすけれど、こんなところにも現れているのかもしれないなあと思いドキドキしながら対局を追っていました。

 5分の考慮時間を経て藤井七段の指した16手目は52玉でした。
どんな判断を経てこの一手を指したのかはご本人のみぞ知るといったところですが、想像するに藤井七段はとてもシンプルに考え52玉を指したのではないだろうかと思ったりします。
佐々木五段戦との対局はとことん研究した、どんな手が来ても対応出来る、といったふうに。

 このあと本局は21手目▲75角で前例から離れることになり、藤井七段の勝利となります。

 今回の対局は何より藤井七段の深い読みに裏打ちされた一手や指し回し、鋭い踏み込みがとても素晴らしく格好良い対局でしたが、それと同時にその決断力も素晴らしいなと思った対局でした。

 さて、明日は西川六段との王位戦ですね。
良い将棋となりますようにと応援したいと思います。