2020年4月の対局

4月3日(金)
第33期 竜王戦3組ランキング戦3回戦
先手藤井七段 後手千田七段

4月10日(金)
第61期 王位戦挑戦者決定リーグ白組3回戦
先手菅井八段 後手藤井七段

将棋界も緊急事態宣言の影響を受け、藤井七段の4月の対局は2局でした。

 竜王戦3組千田七段との対局は朝日杯の雪辱を果たし、決勝戦へと駒を進めた大きな一局でした。
対局する相手は師匠の杉本八段です。久々の師弟対決、楽しみですね。

 王位戦挑戦者決定リーグ戦菅井八段戦。
菅井八段とは千日手局を含めこれまで7度の対局があります。先手後手を調べたところ、千日手局が先手だった以外は全て藤井七段の後手でした。
通常は振り駒のある時は先手になりますように、と願いますが最近の結果を見ると先手後手どちらを願おうか迷ってしまいますね。
 こと菅井八段戦においては振り駒は無心の状態で見守ろうと思います。

4月30日(木)
おうちでAbemaTVトーナメント
先手藤井七段 後手深浦九段

 楽しかったですね。
公式戦の時とは違ってリラックスした表情が見れたのが良かったです。
特に対局後の質問で「どんな風に過ごしていますか」という問いかけに、「いつもと変わらないです」と答えた時の笑顔には心身ともに元気に過ごしている様子が伺えて見ていて安心しました。
 対局の方は、これはもう予想していたとはいえ"stay home"(=研究時間の増加)の効果の一端が現れた一局だったように思います。

 本日5月21日、関西3府県の緊急事態宣言の解除が表明されました。
これで大阪での対局は再開の方向に進むでしょうか。そうなってくれると嬉しいですね。
(勿論言うまでもなく、安全が最優先ですが)
 何はともあれ、次回対局を楽しみに待ちたいと思います。

2020年2月と3月の対局

2月29日
第91期棋聖戦決勝トーナメント1回戦
先手藤井七段 後手斎藤八段

3月03日
第78期 順位戦C級1組10回戦
先手真田八段 後手藤井七段

3月06日
第28期銀河戦本戦トーナメント8回戦 (放送日4/28)
森内九段戦

3月06日
第28期銀河戦本戦トーナメント9回戦 (放送日5/26)
郷田九段戦

3月09日
第46期棋王戦予選3回戦
先手藤井七段 後手出口四段

3月12日
第33期竜王戦ランキング戦3組2回戦
先手藤井七段 後手高橋九段

3月16日
第67期王座戦二次予選2回戦
先手阿部八段 後手藤井七段

3月20日
第61期王位戦挑戦者決定リーグ白組2回戦
先手上村五段 後手藤井七段

3月24日
第61期王位戦挑戦者決定リーグ白組4回戦
先手藤井七段 後手稲葉八段

3月31日
第91期棋聖戦決勝トーナメント2回戦
先手藤井七段 後手菅井八段
千日手指し直し局
先手菅井八段 後手藤井七段

 2月末から3月末でなんと8局(未放送分を含めると10局)!そして3年連続勝率8割以上達成!
藤井七段おめでとうございます。
ファンとしては嬉しい月でした。
行われた対局のどれもが藤井七段の強さや成長そして人間らしさを感じさせる素晴らしい対局でした。
 
 今回印象に残ったのは、稲葉八段戦の時の藤井七段の対局中の姿勢でしょうか。
 稲葉八段戦の終盤は評価値や解説、観戦する人達の言葉を見る限りかなり厳しい情勢だったようです。ですが藤井七段の盤に向かう姿には諦めた様子は全く見られませんでした。
それ故、きっと藤井七段には可能性のある勝ち筋が見えているんだと感じられて、不安にも諦めモードにもなることもなく観戦することが出来ました。

また王位リーグ戦の上村五段戦も印象深い対局でした。
 上村五段が対局後のツイートで「こちらが間違えていなければこの将棋はもっとどこまでも遠くへ行けた、」と仰っていました。
順位戦での高野六段の「ジェット機に乗って楽しく旅ができた」の言葉に続く名文句だなと思います。
 こういった本気で臨む対局者に対し、藤井七段も本気で相対するからこそ、素晴らしい将棋が生まれるのだなとあらためて思います。
 戦いに心躍らせ楽しませてくれることを藤井七段や対局する棋士の方々に感謝するばかりです。

 次局は千田七段との対局ですね。
前回は早指し戦で先後の影響が多少なりともあったかなと思いましたが、次局は持ち時間5時間の長時間戦です。
これまでの戦いぶりを観ていると先後どちらがきても大丈夫と思えます。
 千日手局後、中2日の対局は大変でしょうが充分に睡眠と栄養をとって脳と体力を回復し、対局に臨めるようにと願っています。
次局も楽しみながら応援したいと思います。

余談
王座戦感想戦の時、珍しく師匠の杉本八段と糸谷八段がいらっしゃっていました。
前回の対局の感想戦を観ていて、言葉使いが少しキツく感じられる方だなと思っていたので(きっと誰に対してもそういう方なのだと思いますが)、お二方がいらして下さったのはファンとしてとても心強くありがたく思われました。

2020年2月の対局

2月4日(水)
第78期順位戦C級1組9回戦
先手藤井七段 後手高野六段

2月11日(水)
第13回朝日杯将棋オープン戦準決勝
先手千田七段 後手藤井七段

2月18日(水)
第31期王位戦挑戦者決定リーグ白組
手羽生九段 後手藤井七段

まずは順位戦

 藤井七段昇級おめでとうございます!

 今回の対局は昇級のかかった大一番でした。
対局は前例のある対局で、その前例というのは前期の順位戦(先手藤井七段/後手近藤五段)でした。
この対局は前期順位戦において昇級を逃すこととなった手痛い対局でした。

 この前例に導いたのはどちらか。
高野六段のインタビューから推測するに、高野六段でしょうか。
 もしそうであるならこの前例の選択はプロ棋士の心理戦とも、獅子千尋の谷的な思惑ありとも、私には思われました。高野六段の心中は知る由もありませんが、藤井七段は立派に受けて立ち見事に勝利をおさめました。

"若者よあの日の対局にあなたは勝った。心置きなく旅立ちなさい"

 対局後の高野六段からは、そんな声が聞こえてきそうな気がしました。

 順位戦の前後に高野六段のインタビュー記事が公開されましたね。
面白いエピソードを交えながら、40代半ばを過ぎた棋士の等身大の姿が語られ、この先何度も折に触れ読み返したくなるような素敵なインタビュー記事でした。

藤井聡太七段との対局に向けて 47歳おじさん棋士は「今までにないほど勉強している」
今期好調、高野秀行六段インタビュー
https://bunshun.jp/articles/-/30416?page=1

ジェット機に乗って楽しく旅ができた」藤井聡太七段に敗れた棋士の“充実感”
高野秀行六段に後日談インタビュー
https://bunshun.jp/articles/-/34466?page=1


朝日杯準決勝

 千田七段優勝おめでとうございます。

 遠山六段の記事を拝見したところ、将棋AIを使った研究に定評のある千田七段にしては意表をつくAIが推奨しない手を指していたようですね。

 もしかしてAI的正攻法では藤井七段に対しては分が悪いと考えたのだろうかと思ったりしました。
そしてふと佐藤康光九段を思い出しました。
佐藤康光九段は昔は緻密流と言われ、とても正統派の将棋を指していたそうです。ですがそのままでは羽生九段に勝てないと考え、今のような誰も真似出来ないちょっと変わった棋風を身に着けたと言われています。

 優勝した千田七段に賞状を授与したのは佐藤康光九段でしたが、もしかしたら見えない"何か"も授与
されたのかもしれないなと思ったりしたのでした。

遠山六段の記事
https://news.yahoo.co.jp/byline/tooyamayusuke/20200212-00162711/


王位戦挑戦者決定リーグ戦

 初戦、見事な勝利!
藤井七段おめでとうございます。

 インタビューの受け応えが素晴らしかったですね。
「まだ対戦自体が多いわけではないので、自分が勝ち上がることで対戦を増やしていければと思っています」
インタビューという即席の場でこういった言葉が出てくるというのは、子どもの頃から今も変わらず羽生九段への敬意を持ち続けているからこそだろうなと思われます。
 藤井七段、本当に素晴らしい若者ですね。

 さて、次回対局は3月3日の順位戦ですね。
相手は真田八段です。
角換わりの本を一冊、矢倉の本を数冊出されていますね。先手は真田八段、どのような戦法で来るのでしょうか。
 いつものように楽しみながら応援したいと思います!

2020年1月の対局

1月16(木)
第78期 順位戦C級1組8回戦
先手藤井七段 後手小林七段

1月19(日)
第13回朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント
1回戦
先手菅井七段 後手藤井七段
2回戦
先手藤井七段 後手斎藤七段

1月24(金)
第33期竜王戦ランキング戦3組1回戦
先手畠山八段 後手藤井七段

1月28(火)
第91期 棋聖戦二次予選決勝
先手藤井七段 後手澤田六段

1月31(金)
第46期棋王戦予選2回戦
先手藤井七段 後手今泉四段

 全局勝利、藤井七段おめでとうございます!

 1月の対局は後半に入って6局ありました。
中2日、4日、3日、2日。
毎日学校に通いながら遠方での対局は、若いとはいえ疲労は蓄積していったことでしょう。
特に31日は金曜日とあって疲れもピークだったのではないでしょうか。
それでも劣勢を覆しての勝利、本当に素晴らしかったです。

 記事やファンの声を読んでいると、藤井七段の構想が素晴らしい、という言葉をよく目にします。
構想というのは、作戦、組み立て、仕組みといったものでしょうか。
 この言葉を目にする時、師匠の杉本八段が"藤井将棋は立体的"と仰っていたことを思い出します。
そして藤井七段が少年のころ夢中になって遊んだという『キュボロ』という玩具を思い出します。

 立体構造を創造していく遊びは、きっと元々立体的な仕組みを面白がる脳を持っていたであろう聡太少年にとってその能力を表現する絶好の玩具だったのではないでしょうか。
 構想が素晴らしいと評される時、何時もその向こうに聡太少年と『キュボロ』が思い浮びます。
そして出会いの大切さを思います。

 体調を維持しこの連戦を乗り切ったこと、鼻声の事が幾度かあった昨年を思えば、本当に良かったなと思います。
 時節柄、念には念を入れ手洗いマスクを励行しどうぞこのまま良き体調を維持して対局に挑めますようにと願っています。

 さて4日は大事な順位戦ですね。
相手は高野六段。高野六段といえば藤井七段をフェラーリやベンツではなくジェット機と、実に秀逸な表現で将棋の門外漢にも棋士藤井聡太の凄さをわかりやすく伝えてくれた方ですね。
 初手合でしょうか。
どのような将棋となるのでしょうか、楽しみながら応援したいと思います。

12/27(金)第61期王位戦予選7組決勝

先手藤井七段 後手斎藤七段
121手迄で藤井七段の勝利。

藤井七段おめでとうございます。
斎藤七段お疲れ様でした。

 対局開始前、盤上に並べられる駒音からはこの対局に対する藤井七段の気合が伝わってくるように感じられました。
壁を乗り越えられたこと、本当に良かったなと思います。
 そして王位リーグ入りおめでとうございます。
王将リーグの時のようなワクワク感が再び!と思うと本当に嬉しい一勝でした。

 年の瀬に。
 この一年もまた藤井七段は着実に歩みを進め一年でしたね。
 藤井七段の歩む姿を見ているとピラミッドが頭に思い浮かびます。
ピラミッドの建造は大きな石を途方もなく広い面積に敷き詰め、高く積み上げていく作業です。
下段は敷き詰める面積が広く、上段にいくにつれ敷き詰める面積は小さくなるものの、積み上げていく分その労力は増していきます。
また内部には外からは伺い知れない秘密の部屋が造られもします。
 藤井七段が汗流し大きな石を積み上げていく過程にはきっといくつもの驚きと喜怒哀楽の物語が生まれ、私達ファンは一喜一憂しながら藤井聡太とその対局する棋士達が紡ぎ出す物語を楽しませてもらうことでしょう。
 藤井七段の造っているピラミッドはきっとこれまで誰も見たことがないような巨大なピラミッドです。将来、将棋史に燦然と輝く金字塔を建造していく姿を見守れる幸せをありがたく思うばかりです。

 さて次局は1/16の順位戦ですね。
年明け一局目は大事な順位戦、気を引き締めつつも楽しみながら応援したいと思います。

余談
 これまで対局毎にブログを更新してきましたがいろいろと忙しくなることから、来年からは月に一度の更新になるかと思います。
勿論、藤井七段の対局は毎局かかすことなく応援することは変わりません!

12/17(火)第61期王位戦予選

先手藤井七段 後手出口四段
97手迄で藤井七段の勝利

藤井七段おめでとうございます。
出口四段お疲れ様でした。

 途中48手目迄は両者が対局した昨年の新人王戦決勝番勝負第二局と同じ進行、そして49手目迄は今年のAbemaTVトーナメントの藤井七段と増田六段との対局と同じ進行(奇しくも手数も同じ97手迄)だったようですね。
 様々な方の感想や解説等を拝見すると出口四段の50手目92角打、藤井七段の55手目93角打がそれぞれの構想の要となった手だったのでしょうか。
本局は解説の佐々木七段も絶賛する藤井七段の強さが表れた将棋だったようですね。

 感想戦では三段リーグを共に戦ったもの同士という気安さか、常よりも少しだけカジュアルな藤井七段が見られたように思いました。
長時間(1時間半程?)の感想戦は若者同士ならではという感じがして、なんだかいいですね。

 12月後半に入って藤井七段に関してのビッグニュースが二つ入って来ました。

 一つ目は聖火リレーの走者に選ばれたこと。
人生において聖火リレーを楽しみに待つ日が来るとは思ってもみませんでした。
県外に住む者としては、テレビ中継などを期待したいところです。
 将棋界からは佐藤会長、羽生九段、ステチェンスカ女流1級といった方々も選ばれていて、新国立競技場と将棋会館が近いといった地理的な縁もあったりするのかもしれませんが、何より将棋の人気復活の充実ぶりといったところが四人も選ばれた要因のような気がします。
 また、聖火の聖の字にふと村山聖九段を思い出したりもしたニュースでした。

 二つ目はゲームソフト監修のニュースです。
その名も『棋士藤井聡太の将棋トレーニング』。
褒めて育てる式のトレーニングはいいですね。
コツコツ続けているうちに強くなれそう気がして、いい大人ですが欲しくなってしまいました。
 そしてまた遠くない将来、「小さい頃、このゲームソフトで将棋に親しみました」というこのゲームソフトに育てられたプロ棋士が現れ、藤井七段と対局することがあるんじゃないかと想像して、ワクワクしたりもしました。

 さて明日は王位戦ですね。
相手は斎藤七段。過去を思い出すとファンとしては少し力が入ってしまうところです。
けれどきっと、今の藤井七段なら大丈夫と信じています。
明日も楽しみながら応援したいと思います!

12/10(火)第91期ヒューリック杯棋聖戦二次予選

先手北浜八段 後手藤井七段
130手迄で藤井七段の勝利。

藤井七段おめでとうございます。
北浜八段お疲れ様でした。

 北浜八段との対局はこれまで3局程あるようですね。
前局は連続王手の千日手という驚きの手が披露された記憶に残る一局でしたが、本局も金が相手陣深く99まで攻め込むという、守備駒である金に対する固定観念を軽くうっちゃるような手が印象に残る対局となりました。
 固定観念、既成概念にとらわれない藤井七段らしさが表れた魅力的な一局ではなかったでしょうか。

 さて明日は王位戦ですね。
対局相手の出口四段とは新人王戦以来の対局です。藤井七段の成長も著しいですが、出口四段もきっと目まぐるしく成長されていることでしょう。
明日も楽しみながら応援したいと思います。